トゥルソー アンフォール 2022 赤 750ml 「自然派ワイン」 ステファン・ティソ

【収穫〜醸造】ぶどうの収穫は区画ごとに手摘みで行い、醸造も区画ごとに分けて行う。ほとんどのキュベがフィルターをかけず、亜硫酸は最低限の使用に抑えるなど、人工的に介入しない自然なワイン造りをする。畑で傷んだぶどうは選果し、未熟果などはカーブで更に選果。プールサールは蜂などの昆虫が触れただけで破裂してしまう程、果皮が薄いぶどう。その後は直ぐに除梗作業、タンク上部で手による除梗を行うが、プリプリの完熟したぶどうが、ジュースと共にタンク内に落ちていく。はじかれた房はスパークリング用として使用される。"} ■醸造元データ

ジュラを代表する生産者の一人、ステファン・ティソ。ジュラの伝統的なヴァン・ジョーヌやヴァン・ド・パイユだけでなく、そのシャルドネはミシェル・ベタン氏などから「ブルゴーニュのグラン・クリュに比肩する」と絶賛されている。

 ジュラ山脈も地殻変動の結果、モザイク状に多様な表土と真土が入り組む土壌であり、ジュラ紀のアンモナイトの泥灰土や黄土質、粘土、地質年代の異なる石灰などで構成される畑が、高度200〜400メートルの位置に、刻々と斜面の角度を変えながら連なっている。そしてビオディナミを実践して10年目のステファン・ティソ氏が表現したいのは、畑の個性に他ならず、土壌に合ったセパージュとの組み合わせから生まれる銘柄は、30種類を超える(畑面積は約38ha)。

これだけの銘柄を管理するのは大変だと思うのだが、本人は「畑によって違うワインが生まれるなら、それは個々に表現したいから。パッションさ」と、サラリ。今は「アルボア・ヴァン・ジョーヌ」として単一銘柄で出しているワインも、「試飲では、畑によって3種類の違う個性を見出している。

将来的には区画名を付けたヴァン・ジョーヌを造り出したく、区画名付きヴァン・ジョーヌはジュラでも珍しい試みになるはず」と更なる意欲を見せる。

ところでヴァン・ジョーヌをおさらいすると、樽での6年間の熟成が必要で、この間目減りしたワインを補充せず、澱引きも行わない。

するとフロールという産膜酵母がワインの表面に発生し、ワインに特有の風味を与える。そしてティソ氏によると、このフロールの厚さも、ワインの味わいを左右するという。繊細なフロール香を好むティソ氏は、ヴァン・ジョーヌの樽熟成庫の湿度は低めに保ち、フロールが厚くなりすぎないように工夫しているという。

 特殊なワインと言えば、ヴァン・ド・パイユも忘れてはいけない。藁ワインと訳され、最低2ヶ月間、藁の上で収穫されたブドウを干しぶどう状になるまで乾燥させ、糖分を濃縮させてから醸造する、、、と言葉で書けば簡単だが、実際に現場を見ると恐ろしい手間である。